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からだの病気とうつ病 高血圧とうつ
高血圧患者さんでうつ状態が認められることがあります。
高血圧とうつにはどんな関係があるの?

高血圧とうつ病
  高血圧は生活習慣病の中でも最も多い病気の1つといえます。ある病院で高血圧患者さんを対象にうつがどの程度認められるかを調査したところ、なんと高血圧患者さんの30%がうつ状態を伴っていることが分かりました。
このコーナーでは、高血圧とうつの意外な関係について解説したいと思います。

<高血圧の患者さんにうつ状態が認められる割合>
香川県のある病院の循環器外来を受診した147人の患者さんのうつ症状の程度を測定した調査
(自己記入による問診票を使用)

中津高明他: Prog Med 26(2): 527-530, 2006


1. 高血圧の患者さんがうつを伴いやすい理由
  高血圧は血圧が正常値よりも高い状態が継続することで、収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上または拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg以上だと高血圧とされます。
高血圧は単に血圧が高いというだけでなく、この状態が長く続くことによって血管に大きな負担がかかり、次第に血管が固くなったり、もろくなったりしていきます。その結果、脳卒中や心臓病(狭心症・心筋梗塞・心不全)、腎臓病など、重篤な病気を引き起こしてしまうのです。
高血圧の90%は原因が明らかでない「本態性高血圧」で、遺伝的な因子のほかに食生活の乱れやストレス、過労などの生活習慣とも関係があると考えられています。

高血圧の原因として考えられるものの多くが、うつの原因とも一致しています。生活習慣や体質以外にも、一生懸命になりすぎてからだの状態を考えずに無理をしてしまうという性格的な特徴も高血圧とうつの両方で共通するものです。
高血圧になりやすい方というのは、同時にうつになりやすい原因を持っているため、うつ状態の発現頻度が高くなっていると考えられます。
また、高血圧の治療で使用される1部の降圧薬には、副作用として不眠のほかに、意欲の低下、からだのだるさ、憂うつ気分などのうつ状態をもたらすものもあります。

<高血圧の発症に関係している要因>
□高齢者 □塩分の多い食事 □肥満 □運動不足 □ストレス □飲酒

2. ストレスによる不安や緊張が血圧を上げる!?
  高血圧患者さんでうつが認められる割合が高いのは、上記に説明した以外にもストレスによる不安や緊張などの精神的要因が血圧を高めるといったこととも関係しています。
過剰なストレスが加わると、脳がストレスをキャッチし、このストレスに対応するために脳の“交感神経”の働きが活発になります。この交感神経は心拍数を上昇させたり、末梢の血管を収縮させたりする働きがあるため、これによって血圧が上がります。
実際、高血圧の中に“白衣高血圧”といって、緊張によって血圧が影響を受けるというタイプのものがあります。白衣高血圧とは、家庭で血圧を測定すると正常値を示すのに、病院の診察室で測ると高血圧を示す状態のことです。医師の前に座ると緊張してしまい、それが原因となって血圧が一時的に上がるため、医師の着ている“白衣”から由来されて「白衣高血圧」と呼ばれています。
白衣高血圧の原因はこれ以外にも以下のようなこともあります。
  • 待ち時間が長くてイライラした
  • 待合室での周囲の会話で不安になった
  • 待っている間、病気のことを考えているうちに不安と緊張におそわれた。
このように精神的な不安や緊張は血圧の上昇と関係しているのです。

ストレスによる不安や緊張が慢性的に持続されると高血圧を生じることもあります。

3. うつをコントロールすることで、血圧が安定することがあります。
  高血圧患者さんでは高い頻度にうつ状態が認められると報告されていますが、中でも高血圧の治療をしているのに、なかなか血圧が安定しない患者さんでは特にうつ状態を伴っている可能性が疑われます。
たとえば、うつ状態で不眠はよく認められる症状ですが、不眠だと血圧が不安定になります。また、うつ状態ではやらなければいけないと分かっていても、からだもこころも思うようにならず、気持ちだけが焦ってしまいます。そのため、休めばいいのに休めないといった状態に陥りやすいのですが、このことが血圧を高める要因にもなります。さらに、うつ状態にあると治療に対する意欲が低下し、薬を正しく飲まなくなったり、食生活が乱れたりして、高血圧の治療がうまくいかなくなることが考えられます。このように高血圧患者さんがうつ状態にある場合、血圧がうまくコントロールされない状態が続くと、重篤な心臓病や脳卒中の危険がさらに高まることになります。そのため、高血圧の治療に加えてうつ状態の治療も必要になります。実際に、高血圧の治療だけで血圧のコントロールが不十分な患者さんに、うつ病の治療を行ったところ、血圧が良好にコントロールされたという報告があります。

高血圧患者さんでうつ状態を伴っている場合は、うつ状態がない場合に比べて2.5倍も心不全を発症しやすいと報告されています。高血圧の治療をしているのになかなか血圧が良好にコントロールできない場合は、うつ状態などを合併している可能性も考えて、かかりつけの医師に相談してください。


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