うつ病教室
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からだの病気とうつ病 アトピー性皮膚炎とうつ
ストレスや不安感が強まったときに、アトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー症状が悪化することはありませんか?

アトピー性皮膚炎とうつ病
  アトピー性皮膚炎に悩む患者さんの数が最近増えているという報告があります。その理由としては、これまでアトピー性皮膚炎は主に小児(小学校くらいまで)で発症して、思春期(高校を卒業する18歳くらいまで)のころには症状がよくなり、治ると言われていたのですが、最近では成人まで持ち越す患者さんが増えてきたためと言われています1)。
そして、皮疹のひどい時期は容姿を気にする思春期にあたることが多いため、患者さんにとっては深刻な問題であり、ストレスや不安感など精神的な面が大きく関係していると考えられています。


1)安藤哲也:アトピー性皮膚炎の心身医学的治療;小児科45(10):1694-1702,2004


1. 毎日の生活によるストレスは、アトピー性皮膚炎の「痒み」を悪化させる可能性があります。
  厚生労働省が行った調査ではアトピー性皮膚炎の悪化要因として、小児では食物や環境アレルギー、成人では心理的なストレスが多いことが報告されています。さらに、最近の研究では「なぜ、心理的なストレスがアトピー性皮膚炎を悪化させるか」ということについても、ストレスが脳の自律神経や免疫系の働きを乱し、かゆみを促進するというストレスとアトピー性皮膚炎の関係性が解明されつつあります。

<アトピー性皮膚炎におけるかゆみのメカニズム>イメージ
瀧川雅浩:Medical ASAHI May5:64,2001

アトピー性皮膚炎の患者さんにとって症状悪化につながるストレスとしては、リストラや親近者との死別といった人生を左右するような大きなストレスではなく、職場での人間関係や家族との問題など、毎日の生活の中にあるストレスとの関わりが強いと言われています。
例えば、勉強があまり得意でなくそのことを不安に思っている患者さんの場合、テスト前になると「痒み」が強くなって、掻くためにアトピー性皮膚炎の症状が悪化してしまうというケースがあります。
そのため、アトピー性皮膚炎では、皮膚の状態を改善する治療に加えて、患者さんがストレスを強く感じたり、それによって症状の悪化につながっているような状況がないかを確認して、ストレスも上手にコントロールしていくことが大切です。


2. アトピー性皮膚炎そのものが、こころの負担(ストレス)になり、うつ病などを合併するケースもあります。
  アトピー性皮膚炎は、病気そのものが患者さんにとって大きなストレスとなります。
アトピー性皮膚炎では、容姿など見かけ上の問題や痒み、また、病気がいつ頃までによくなるのか、悪化することはないのか?といった将来に対する不安など、様々なストレスが患者さんを悩ませます。そして、ときにはこのような不安やストレスが患者さんのこころに大きな負担となり、うつ病や不安障害などのこころの病気につながってしまうケースがあります。
しかし、アトピー性皮膚炎の患者さんにうつ病などのこころの病気が併発しても、なかなか気付かれにくいという問題があります。それは、うつ病を併発することで、患者さんが家に引きこもるようになったり、眠れなくなったりした場合、これらの変化が「アトピー性皮膚炎によるもの」と考えられてしまうことが多いためです。このような状態の患者さんにうつ状態が関係しているかどうかを判断することは難しいのが現状です。
しかし、うつ病が関与していることを疑うポイントはいくつかあります。
皮膚の状態が気になるために、人に会うことを避け、休日はできるだけ家に閉じこもっているというアトピー性皮膚炎の患者さんは多いのですが、平日の仕事や学校など、本来やらなければならないことまで放棄して家に引きこもってしまっている場合は、うつ状態などのこころの問題が関与している可能性が強くなります。
また、「眠れない」という状態にもうつ病とアトピー性皮膚炎で特徴の違いがあります。
アトピー性皮膚炎の場合、痒みで眠れないために「なかなか寝付けない・・」と訴える患者さんが多いのに対して、うつ病で眠れない場合、朝に早く目が覚めてしまうと訴える患者さんが多くなります。そのため、アトピー性皮膚炎の患者さんが、「朝、いつもより早く目覚めてしまう」ことに悩んでいる場合は、痒み以外にもうつ病などのこころの問題が関係している可能性があります。
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3. うつ病を治療することで、アトピー性皮膚炎のセルフケアにも積極的に取り組めるようになります。
  アトピー性皮膚炎の患者さんにうつ病などのこころの病気が併発した状態をそのままにしておくことで最も問題となるのは、患者さんの“治療に対する意欲が低下する”ということです。
アトピー性皮膚炎の患者さんがうつ病を合併した場合、眠れない、やる気がでない、億劫などのこころの症状が現れるようになります。これによって患者さんは、アトピー性皮膚炎をコントロールするために行っていた「お風呂に入る」、「治療用のおくすりを塗る」といったスキンケアを面倒に思い、怠るようになります。
アトピー性皮膚炎では、日頃のスキンケアが症状の皮膚の状態を良好に保つためにとても大切なため、うつ病の合併によってこれらをできない状態になることは症状の悪化につながります。
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アトピー性皮膚炎で治療を続けていても、痒みをコントロールできなかったり、毎日のスキンケアに負担を感じてやる気がおきないという方は、一度、担当の先生にこころの状態についても相談してみるとよいでしょう。


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