うつ病教室
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からだの病気とうつ病 頭痛とうつ
くすりをのんでも、病院で治療を受けてもよくならない・・・、 そんな頭痛に悩まされてはいませんか?

  イメージ ズキズキと頭が痛い、頭が締め付けられるように重い、こんな頭痛を経験したことがある人は多いと思います。一晩寝るとすっきり翌日には治っていたり、繰り返さない場合は、特に問題ではありません。
しかし、頭痛が慢性的に続き、不快な気分に悩まされる場合は、生活に支障が生じることがあります。
頭痛は大きく分けて、症候性頭痛と機能性頭痛の2つのタイプに分かれます。

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  図に示したように、症候性頭痛は、脳腫瘍や脳梗塞などの脳の病気が原因となって起こる頭痛です。これに対して機能性頭痛は、特に脳などに異常がないにも関わらず頭痛が繰り返し起こります。そして、この原因不明の頭痛の発症に、うつや不安などのこころの状態が大きく関与していることが最近の研究で明らかにされてきました。
日常生活でも、何か悩みや心配事があるときに「頭痛の種がある」という表現が使われるくらい、精神的なストレスと頭痛が密接に関係していることは経験的に理解されていることです。しかし、うつ病などのこころの病気と頭痛が関係しているということにピンとくる人は少ないかもしれません。
では、うつ病と頭痛の発症はどのように関係しているのでしょうか?

 
(1) 頭痛を持っていた人が、たまたまうつ病などの精神疾患にかかった場合
(2) 頭痛に悩んでいるために、二次的な症状として抑うつや不安状態に陥った場合
(3) うつ病やパニック障害などの精神疾患の身体的な症状として頭痛が認められる場合
(4) セロトニンを中心とした共通の生物学的な要因を背景として、頭痛とうつ病が共存している場合

  治療上、うつ病が見落とされる可能性が高く、問題となるケースが多いのが(1)や(3)のパターンです。
(1)のパターンでは、頭痛が続いて気分がなんとなく落ち込みがちでも、「頭痛だから仕方ない」と片付けられたり、また(3)のパターンでは、頭痛が続いていても市販の頭痛薬で抑えようとします。しかし、うつ病の身体症状として頭痛が起こっている場合は、頭痛薬でよくなることはほとんどなく、うつ病自体の治療をしなければ頭痛は改善しません。実際、下図のように、頭痛は不眠や食欲低下、倦怠感と同様にうつ病で高頻度にみられる身体症状の1つです。

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渡辺昌祐ほか:プライマリーケアのためのうつ病診療Q&A(改訂版第2版)、金原出版、1997

イメージ 「朝の頭痛はうつのサイン!」
イギリス、ドイツ、イタリア、ポルトガル、スペインの5カ国で、朝起きたときの頭痛の有無や頻度について、専門家による電話聞き取り調査が行われました。
その結果、調査対象となった約1万9千人のうち7.6%が朝の頭痛に悩んでいました(13人に1人の割合)。また、朝に頭痛がある人のうち30%(4人に1人)は、うつ状態でした。
もし、あなたが今、朝起きたときの頭痛に悩んでいるようであれば、一度医療機関を受診してみましょう。
[Prevalence and Risk Factors of Morning Headaches in the General Population] Archives of Internal Medicine Vol. 164 No. 1, January 12, 2004

では、なぜうつ病などのこころの病気によって頭痛が発症するのでしょうか?
その理由の1つとして、人は精神的に不安定になると、通常よりも痛みに対して敏感になるということが挙げられます。そのため、これまでなら痛いと感じていなかったことに対しても、痛みを感じるようになるのです。また、うつ病によって頭痛が起こる以外に、頭痛が先行してうつを引き起こす場合でも、同様に痛みへの過敏反応は生じます。具体的に説明すると、頭痛が続き、不快な状態が続いていると、それがストレスとなり精神的に不安定になります。そのために、通常よりも痛みを強く感じ、ますます頭痛がひどくなります。さらに、頭痛をはじめとして痛みという感覚は種々の不安を起こしやすく、頭痛を訴える患者さんには、自分の病気は脳出血、脳梗塞、脳腫瘍ではないかという不安があり、その不安が頭痛を悪化させることが多いと言われています。
頭痛を主症状としていても、頭痛が引き金となりうつ病を併発し、これによって頭痛が悪化している場合や、うつ病の症状そのものとして頭痛が発症しているような場合は、抗うつ薬などによるうつ病の治療が必要になります。そのため、単なる頭痛とすませずに、頭痛に悩んでいる場合は、少しでも早く医師に相談することが大切です。
また、片頭痛や緊張型頭痛でくすりをのんでいるのに一向に症状が改善されない場合も、背景に抑うつ状態を伴っている可能性もあるため、一度、専門医を受診することをお勧めします。

<頭痛の背景に抑うつ状態が隠れていたサラリーマンA氏の例>
A氏は35歳の会社員。これまで大きな病気をすることはありませんでした。性格的には几帳面でまじめであり、仕事に対する責任感も強い方でした。仕事で新しいプロジェクトが始まり、チームリーダーとなったA氏は、これまで以上に仕事に打ち込みました。お昼を食べ損ねることや残業が度重なり、多少からだに負担はかかっていたものの、チームリーダーという立場から弱音をはくわけにもいかず、がんばり続けました。
その頃から朝、目が覚めると頭が重くなったり、締め付けられるような頭痛に見舞われるようになりました。A氏は疲れがたまっているのだろうと思い、市販の鎮痛薬を飲んで痛みをやり過ごしていましたが、頭痛はだんだんひどくなり、仕事に集中できないことも増えてきました。また、頭の重みのために、からだを思うように動かせず、会社に行くのがつらく感じるようになっていきました。
イメージ このような状態が数週間も続き、このままではチームに迷惑をかけると思い、近くの病院を受診したところ、手足のしびれ感や吐き気なども見られないため、ストレスによる緊張型頭痛の疑いと診断されました。鎮痛薬を処方され、2ヶ月間服用しましたが、症状はあまり改善されませんでした。
A氏の表情はだんだん暗くなり口数も少なくなってきたことから、ただの頭痛ではないと思った担当の医師が精神面の検査を実施したところ、抑うつ傾向が認められました。そのため、抗うつ薬による「うつ状態」の治療が開始され、1週間くらいたった頃、朝、目覚めたときの頭の重さがとれたとのことです。

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