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 第2回 「こころ和む 秋の和菓子」
この人の癒しのスタイル
和菓子創作家金塚晴子さんレシピ

 金塚晴子さんの和菓子には、見ための美しさと素材の甘さを生かした優しさがあります。
基本をくずさず自由な発想でつくり出す金塚さんの和菓子は、その斬新さとおいしさで、食べた人たちを魅了してしまうようです。
 最近は、雑誌やテレビの料理番組にも出演したりと、多忙な日々を送られている金塚晴子さん。どうやら、その魅力は和菓子の作風だけではなく、そのお人柄にもあるようです。

金塚さん 写真
金塚晴子さん
 季節和菓子「へちま」主宰。レコード会社のディレクターとして、山口百恵や南沙織をはじめ数々のヒット作品の制作に携わる。18年勤めた後、42歳で会社を辞め和菓子学校に入学、卒業。現在は、注文和菓子の製作のほか、スタジオで20クラス、160名の生徒に教えている。著書に『ホームメイド和菓子』(文化出版局)『電子レンジとフードプロセッサーで和菓子ができる』(講談社)等がある。3月13日には5册めの本『キッチンでつくる茶席の和菓子』(淡交社刊)を発売。
撮影/上牧 佑
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 前回、和菓子との出合いや和菓子づくりの魅力について語ってくれた金塚さん。今回は、ご自身のライフスタイルから和菓子のもつ“癒し”の効力まで、じっくり話してくれました。季節感と創造力あふれる金塚さんの和菓子の味わいは、仕事と休暇、オンとオフのバランスのとり方にもあるようです。
金塚さん 写真 平日は東京で集中的に仕事をして週末は千葉の自宅でのんびりしていることが多いですね。週末はお菓子をつくらないし、あまりお菓子のことは考えない生活です。公私を分けているというか、こういう暮らし方が私にはあっているようです。
東京・中目黒のスタジオでは、撮影や取材、お教室、新しい出逢いと発見の連続で、楽しさと緊張の毎日。逆に、千葉の生活は自然の中での出逢いや発見があり、のんびりとおだやかな毎日。その両方とも私には必要なことなのです。
 自宅は九十九里の海岸まで車で5分ほどです。今はちょうど稲刈りの時期で、稲刈りが終わったばかりの農道を自転車で走ると、ワラの匂いがふぅっと胸に入ってきて、なんだかなつかしい気持ちになります。東京より空気がきれいで、魚や野菜が新鮮なのもうれしいことです。家の近くには有機農法で小麦、そば、大豆をつくっている農場があって、そちらのおばあちゃんに和菓子で使用する小豆を特別につくっていただいています。つぶ揃いでとてもおいしい小豆で、あんにしたり、ゆでてそのままの香りを楽しんだりしています。
 千葉から中目黒のスタジオまでは特急を利用しても2時間ほどかかりますが、その通勤時間はお菓子のアイディアを練るために使っています。車窓から見える四季折々の花々をみていると自然につくりたい和菓子が浮かんできます。この二重生活がストレスになる時もありますが、上手にバランスをとってボチボチやっていこうと思っています。
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 オンとオフの時間を自分流に上手にアレンジして、充実した日々を送っている金塚さん。ストレスとはあまり縁もないようですが…。
金塚さん 写真 若いころは毎日が忙しくて、休める時間はほとんどありませんでした。けれど自分なりに好きな仕事をめいっぱい楽しんでいたので、ストレスなんてたまらなかったような気がします。ひとつの夢を追いかける仲間同士、毎日みんなで夢物語みたいなことを語り合っていて、本当に毎日が充実していました。だから、今の人たちのように“癒し”が必要なほど、毎日にストレスを感じていなかったように思います。
 それにしても、どうして今はこんなにも“癒し”を求めるのか少し不思議です。みんな、本来やらなくていいことまで無理してやっているような気がします。
 たとえば、昔は「食事に行きましょう」といったら、「じゃあ、あの店ね」とみんな自然に同じ店に足が向きました。お店に関する情報も少なかったですし。ところが今は、情報が溢れているために「あの店がおいしいらしい」「新しく出来たこのお店はどう?」なんてそれぞれが言い始めるでしょ。本来の目的はみんなで会って話をすることなのに、どこで会うか、何を食べるか、という話が主になってしまう。そんな話をしているうちに疲れてしまって、「じゃ、会うのはまた今度にする?」なんていうことがよくあるんです。
 よく考えたら、普段の暮らしにはそれほど多くの情報は必要ないですよね。でも今の時代は、情報をたくさん知っていないと自分だけついていってない気がして不安になったりして。そんなことを気にすることなんてないのにね(笑)。
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 秋はどこかに出かけたくなる季節。散歩をしながら季節を感じることがとても楽しいと言う金塚さん。「本当の“癒し”はもっと身近なところにあるのかもしれませんね」と話してくれました。
金塚さんの本 行楽のシーズンだからって、混み合う温泉やレジャースポットに行かなくてもいいと思います。疲れを癒すために一泊で温泉へ出かけても、結局また疲れて帰ってきて東京駅でマッサージ、なんてパターンをよく耳にします(笑)。お休みの日はどこかへ出かけなきゃ、何かをしなきゃと思い込んでいるんでしょうね。
 今は“癒し”のためにたくさんのお金が必要な時代。そのために働いて、働きに出るためにブランド品を身につけて、いい服を着て…と、どんどん疲れることばかりしている気がします。それで疲れたから、また癒しにお金を使う…なんだか悪循環ですよね。
 そんなにお金を無理して使わなくても、自分の手や足で楽しむことを見つけられれば、毎日をもっと楽しめるんじゃないかなと思います。たとえば、和菓子をつくるときの優しい手ざわりや、色をつくるときのわくわくする気持ち、そういった身近な発見ってとても楽しいものです。
 和菓子教室に初めていらっしゃる生徒さんは、自分の手でものをつくる楽しさや、初めはうまくつくれなかった和菓子を上手につくれるようになった喜びなどを体感しています。それは、和菓子づくりに限らず、陶芸などでも同じことですが…。
 情報によって楽しむのではなく“みずからの手や足、五感を活用することで楽しむ”ことは、とても気持ちの和むことです。手であんこを丸める作業もそのひとつ。子供のころの砂あそびの感触を思い出してみてください。想像するだけでなんだか優しい気分になってきませんか。
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金塚晴子さんの自宅でできる手作り和菓子
和菓子を作ってみませんか

金塚さん写真
 手づくり和菓子レシピの第2回目は、身近な材料を使った「栗きんとん」と、秋を感じさせる「道明寺のクルミソースがけ」の2点です。
和菓子の写真

●栗きんとん ●道明寺のクルミソースがけ
材料(6個分)   材料(8個分)
甘露煮の栗 300g
 
道明寺粉 120g
180cc
上白糖 大さじ2
クルミ 14個(飾り用2個)
上白糖 100g
しょうゆ 大さじ2
熱湯 大さじ2弱

作り方

作り方
甘露煮の栗は蜜ごと一度煮立て、ザルにあけて蜜をきる。丸ごと使用分の6個を取りわけ、残りをフードプロセッサー、または裏ごしでペースト状にする。
うすい茶巾(ガーゼ、ハンカチ等)をおき、その上に直径8〜9cmのセルクル(ない人はそのまま)をのせ、かぶせるようにきんとんこし、または目のあらいザルをおく。
1を6等分しそのうちのひとつを、きんとんこしまたはザルを通してセルクルの中に入るように(ない人はガーゼの上におとす)手の平でそぼろ状に押し出す。 セルクルときんとんこしを外し、そぼろ状になったきんとんを円形に均等になるよう形をととのえる。その上に取り分けておいた栗をのせ、ガーゼのハンカチごと手のひらにとり、栗が少しのぞくように軽く包みこむ。
 
フードプロセッサーでクルミをペースト状にし、上白糖・しょうゆ・湯を加えてクルミソースを作っておく。
耐熱ボールに道明寺粉を入れ、水180ccを加えよく混ぜ、ラップをしてレンジに5分かける。
2を取り出し、ラップをはずし布巾をかけ、10分蒸らす。
上白糖を加えてよく混ぜ、8等分し、俵型に形をととのえ、皿に盛りクルミソースをかけ、上にクルミを飾る。


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