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第2回−「職場のうつ」

[実践編] 会社としての「職場のうつ」への取り組み:効果的な3つの方法

  STEP1
管理者には「うつ」に対する教育をしっかり行なう


私が産業医をしていた会社でも実施していましたが、管理者には「うつ」を含めたメンタルヘルスに関する教育を実施することを勧めています。
これは、それほど大げさにする必要はありません。

うつ病とはどのような病気か?
どのような症状が現われるのか?
治療方法はどんな方法があるか?
うつ病にかかったらどうすればよいか?

このくらいの内容が理解できれば十分です。一番よいのは産業医の先生などに1時間程度の講義を行なってもらうことですが、そのような状況が作れない場合でも、冊子を配布したりホームページを紹介したりして個人で勉強できるための情報提供は行なっておくべきです。

例) うつについてまとめた書籍を会社で購入し、管理者に貸し出す
  うつについてまとめた雑誌の掲載ページをコピーし、管理者に配布する
  UTU-NETなどのうつについて詳しく書かれているホームページを紹介する(うつ病教室はこちらclick

管理者がうつについてきちんとした知識を持っていることは、社員のうつを悪化させないために、またよりスムーズに職場に復帰させるためにとても重要なことです。





  STEP2
家族への情報提供も怠らない


家族へのメンタルヘルスに対する情報提供が行なえている会社はあまりないと思いますが、うつに悩む患者さんが医療機関を受診したきっかけとして大きな役割を果たすのが家族です。患者さんのプライベートな部分で毎日接している家族だからこそ、患者さんのちょっとした変化にも気が付きます。しかし、変化に気が付いても家族がうつに対して無知であれば何のサポートもできません。
私が産業医を務めていた会社では、半年に一回くらいの割合で「健康保険組合だより」を家族に配布し、その中の特集としてうつを取り上げていました。
「ご家族の中にこのような症状はありませんか?」というタイトルで、うつの症状に対する注意を喚起します。
社員に配って家庭に持ち帰るシステムではなかなか家族のもとに届けられにくいため、直接ご家庭に配送するシステムでした。メンタルヘルスは社員が健康に働き続ける上において、本当に重要な課題であるため、本来なら企業としてこのくらい細やかな配慮が必要なのだと思います。





  STEP3
EAP(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)を導入する


社内に診療所があり産業医や嘱託の精神科医のいる企業はそれを活用できますが、多くの企業でそのような体制を作れないのが現状ではないでしょうか。
そのような中で、利用できるのが外部のEAP機関です。EAP(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)とは、企業の生産性向上を目的とした、メンタルヘルス対策を含む従業員の支援サービスのことです。EAPサービス機関としては、公的機関として労災病院の勤労者向けメンタルヘルスサービス窓口や各県の産業保健推進センター
http://www.rofuku.go.jp/sanpo/)などがありますが、特定の事業所に対して継続的に関与できないという制約があります。
最近では一般の民間企業が業務としてEAPサービスを行なっているところが増えてきました。EAPサービス機関によって受けられるサービスの内容としては以下のことがあります。

従業員の精神的健康問題に関する評価
従業員のメンタルヘルス・ストレスなどの問題に対する適切な医療機関・相談機関への紹介
医療機関・相談機関へのリファー後のフォローアップ
労働者・管理監督者などに対するメンタルヘルス・ストレスに関する教育
カウンセリング
医組織に対する、労働者のメンタルヘルスおよび職業性ストレスに関するコンサルテーション
EAPサービスの効果に関する評価

どのような企業がEAPサービスを行なっているかについては、インターネットなどを使って検索することができます。
こころの問題は身近であればあるほどなかなか話にくいものです。産業医の先生を配置したり、EAPサービスと契約するなどして、社員が悩んだ時に気軽に相談できる第3者の相談窓口を用意することは、企業の義務であるとも言えます。

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