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第1回−「女性ホルモン」と「うつ」

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  ●月経はなぜこころやからだに影響を与えるのでしょうか?

1  月経のメカニズム

月経前にからだやこころに症状が現れるのは、月経の周期を作っている卵巣ホルモンが子宮だけでなく、脳やからだにも様々な影響を与えているためです。

 まずは、月経がどのようなメカニズムによって起こっているかを簡単にお話ししましょう。


● 卵巣ホルモンと月経の関係

図

 月経は、卵巣ホルモンの働きによって増殖した子宮の内膜がはがれ落ちる現象です。

 卵巣ホルモンには、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類があり、卵巣で起こる周期的な変化(卵胞の発育・排卵・黄体形成)に伴って分泌されています。また、卵巣ホルモンの分泌は卵巣だけで調節されているのではなく、図に示したように脳にある性中枢からの支配を受け、精巧な機構で調節されています。

1 脳下垂体からの卵胞刺激ホルモンによって、卵巣では卵胞が発育します。
2 発育した卵胞からは、卵胞ホルモン(エストロゲン)が分泌されます。
3 卵胞が十分に発育すると、脳下垂体からは黄体化ホルモンが分泌され、排卵がおこります。
4 排卵後の卵巣では、黄体という組織ができ、黄体ホルモンが分泌されます。
5 妊娠が成立しない場合は、黄体は2週間程度で退縮し、卵巣ホルモンの分泌が低下します。これにより、子宮の内膜が剥がれおち、月経がおこります。

● 卵巣ホルモンの周期的変化

図

 卵巣では、卵胞の発育とともに、卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が増加します。卵胞が十分に発育すると、下垂体から黄体化ホルモンが分泌され、この刺激で排卵が起こります。排卵後の卵巣では、黄体という組織ができ、卵胞ホルモンと黄体ホルモンを分泌します。妊娠が成立しなければ、黄体は10〜14日程度の寿命で消退し、月経が起こります。
月経前に起こる様々な症状は、その時期と周期性から、黄体ホルモンとの関係が深いと考えられます。

2  卵巣ホルモンと神経伝達物質の関係

 「月経前症候群(PMS)」が、なぜ発症するかについては、さまざまな説があります。なかでも、最近注目されているのは卵巣ホルモンと脳内の神経伝達物質とのかかわりです。

 UTU-NETのうつ病教室でも説明されていますが、私たちの脳は、何百億もの「神経細胞」から成り立っています。そして、それぞれの「神経細胞」は、直接つながっているわけではなく、“神経伝達物質”を介して情報が伝達される仕組みになっています。

 うつ病では、この“神経伝達物質”のうち意欲や活力を伝える【セロトニン】【ノルアドレナリン】という物質が減少することにより、憂うつ気分や不安な症状が現れるようになります。

イラスト 実は、月経前症候群の場合も脳内神経伝達物質である【セロトニン】や【アロプレグナン】の量や活性が関与していることが推測されているのです。

 詳しいことはまだよく分かっていませんが、卵巣ホルモンの周期的な変動が脳内神経伝達物質の量や活性を変化させ、憂うつな気分や不安を生み出しているのかもしれないのです。

女性の中には、卵巣ホルモンの影響によって憂うつや不安などのこころの症状が現れやすい人がいます。そして、生活上の変化やストレスはこのような症状を強める傾向があります。
ひとりで悩んでいても症状は解決されません。症状が軽くても気になっているようであれば気軽に病院を受診して、その対処法について相談してください。

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